しな布 Shin cloth 村上市



しな布(科布)は、フジの皮やコウゾ、アサなどの繊維で織った藤布、楮布、麻布 などとともに、わが国における古代織物(原始織物)のひとつ。
織糸は樹皮繊維であることから、歴史的に北方系の織物であり、アイヌ文化圏に属する織物であるともいわれている。(しなの語源がアイヌ語で「結ぶ・しばる」などの意味を持つ)
本県北部では、昔かなり広くしな布を織り、仕事着や屑蒲団の皮、袋類などの自給用衣料として、一部が現金収入源となり、春にはそれで木綿を購入し、新しいデタチ(仕事着)を準備したという。綿も育ちにくい北国では、しな糸が唯一の繊維であった。

しな布の原料であるしなの木は、地方によりマダ、マンダ、モウダなどと呼ばれ、日本列島の山間部に自生している落葉高木。樹齢10年前後、直径15cmくらいのものを6月から7月上旬に切る。皮剥ぎをし、8月末から9月上旬に灰を混ぜて煮上げ、叩いたりもんだりして繊維を採取し、これを績んで撚糸にしあげて乾燥保管しておく。
雪の降るころからシナ績みをはじめ、3月下旬までには、イザリ機でしな布を織りあげる。織り機は麻布などの植物繊維の機とほぼおなじである。染料による染色はせず、シナの木本来の色のまま織りあげるので、黄褐色をしている。皮剥ぎ以外は女の仕事である。

1400年もの歴史を持つといわれるしな織が、村上市山北地区にいつの頃から伝わったかは定かでなく、かつては佐渡や北越の各地にしな織りが見られたともいわれているが、現在では、羽越国境である当村上市雷や山熊田と隣りの峠1つ隔てた山形県の関川の集落、いずれも雪深い山里に織り継がれているにすぎない。

木綿、麻よりも古い織物。かたくゴワゴワしているが、しなやかで強くさらりとした感じがある。 その素朴な手ざわりの中に遠い祖先の知恵と、深い雪の中で黙々と織り継がれてきた生活のしたたかさが息づいている。近年の民芸品ブームで人気が出てきており、素朴な味わいがあることから、財布や物入れの材料に使われている。

平成17年(2005)9月には、上記の産地で織られているしな布が経済産業省の「伝統的工芸品」に指定された。


産地組合名



















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羽越しな布振興協議会 さんぽく生業の里企業組合 雷しなばた保存会