高坪山 Mt.Takatsuboyama 村上市



高坪山は村上市と胎内市の境にある蔵王山系の主峰で、胎内川と荒川に挟まれた場所に位置する。
高坪山は、村上市の荒川地区では昔から「前山」「元山」「梨の木山」と呼ばれていた。胎内市の黒川地区では「蔵王山」の名で親しまれている。かつては黒川地区の蔵王権現から山頂を目指す以外登山道の無かったこの山に、荒川地区からの登山ルートが開かれたのは昭和50年(1975)のことである。現在では蔵王コース、虚空蔵コース、荒島コースの3つあり、いずれもしっかり整備され安全で快適なトレッキングが楽しめる。蔵王コースで山頂を目指し、虚空蔵峰を経由して登山口に戻る、虚空蔵コースでの下山が一般的だ。この周遊コースは半日もあれば十分楽しめるコースである。
虚空蔵峰には平成元年(1989)、標高500m地点の奥の院まで、約1tもの石の鳥居が地元有志の手によって運び上げられた。
家族連れや友達同士で気軽に登れる穏やかな山で、多くの登山客に親しまれている。登山口から山頂までの道々では、ブナや杉など美しい緑と心地よい風が私たちの心を癒してくれる。特に、この山一番の魅力といえるブナ林が山頂手前に広がっていて、秋には、紅葉が美しい。
植生は、雪国特有のブナ林の中にユキツバキユズリハなどが混生する。春にはイワウチワオオイワカガミシラネアオイなどの花が咲き誇る。
山頂はゆったりとできる広場になっていて、石仏と三角点がある。空気が澄んでいれば、粟島や佐渡ヶ島が眺望でき、特に2つの島の間に沈む夕日には心が奪われる。飯豊連峰見晴台からの飯豊連峰の美しい景色も高坪山の魅力のひとつ。特におすすめの季節は、田植えの頃だ。水田に輝く夕日と日本海へ続く光の帯は、時を忘れるくらいに美しく、自然の素晴らしさを肌で感じることが出来る。
高坪山の花たちの季節は、早春から夏にかけてクルマユリやラン類、9月に入るとミヤマホツツジツルリンドウツリフネソウが咲く。紅葉が始まるのは10月末から11月上旬である。(案内図)

🔶蔵王コース

登山口は高坪山駐車場から5分ほど歩いた右手にある。
トイレのある虚空蔵山荘の前を過ぎ、作業道となってスギの植林地の中を一直線に進んでいくと虚空蔵平に出る。ここで分岐点から左に虚空蔵コースと右に蔵王コースに分かれる。
杉の造林地を抜け、大沢を渡る。急な階段道を登り切ると、雑木林の急登に入る。足元にヒメシャジンが咲く。
「見晴らしの松」の休憩所を過ぎ、蔵王集落からの登山道と合流すると、辺りはブナの原生林に一変する。
道はロープにすがる急坂を登ると頂上となる。山頂は高坪の鐘とお地蔵様が置かれた広場となっている。

🔶虚空蔵コース

蔵王平分岐点から左にいきなり急登となり、一の峰、二の峰、三の峰と、およそ10分から15分ごとの直登で、50分ほどで、奥ノ院分岐へ出て、奥ノ院分岐から20mほど下ったところに石の祠でできた奥ノ院が安置されている。分岐を進むと間もなく、標高526m虚空蔵峰に着く。ここは見通しがきかない。
右に行き、西側斜面よりに見事なブナの林が広がりはじめ、高坪山頂までずっと続いている。ガマズミマンサクの灌木帯の中に、サルスベリの古木も交じっている。稜線沿いに20分ほど歩くと草付きのマイクロ反射板地点に、東南方面が開けた「飯豊連峰展望台」がある。飯豊山塊の大きさが改めて確認できる眺望だ。ブナ林に入り、三方境の蔵王権現への分岐を過ぎ、高坪山山頂に着く。展望は西側に開けていて、中条方面の水田の広がりが目に入る。



























高坪山 高坪山登山口 駐車場 虚空蔵・蔵王コース分岐 荒島コース登山口 虚空蔵峰 虚空蔵奥の院 展望台