白鳥山 Mt.Shiratoriyama 糸魚川市
新潟県糸魚川市と富山県朝日町にまたがり、飛騨山脈(北アルプス)後立山連峰の最北端にある1000m峰である。山名は山容が白鳥の羽ばたく姿とか、残雪模様からとかいわれている。山姥山の別称でも親しまれている。山頂には三等三角点があり、新潟県と富山県の県境となっている。 周辺の地質は、中生代ジュラ紀、白亜紀堆積岩、古生代変成岩や蛇紋岩からなり、上路金山、橋立金山、ヒスイの採掘跡があり、トクサ、シダ、イチョウ、アンモナイトなどの化石を産する。山の東斜面には、かつて黄金を採掘した橋立金山やヒスイの採掘跡が残されており、白鳥山が”宝の山”として重要な位置を示していたことがうかがえる。橋立金山は、藩政時代より明治30年代までが最盛期で、白鳥山腹の金山に1000人もの人々がかかわっていた。現在は、採鉱元山と精錬所跡が残っている。 坂田峠は橋立金山経由の山回り旧北陸街道の通過点で、栂海新道とクロスしている。親不知海岸が普通の時、越中~越後の交易ルートとして利用されてきた。明治中葉の橋立金山最盛期には、大勢の金山関係者の通行で賑わっていたという。 昭和46年(1971)栂海新道が開通し、その後平成3年(1991)に山頂に白鳥小屋が建てられると登山者もふえた。坂田峠、山姥洞登山口まで自家用車で入山できるため、日帰り登山で十分楽しめる山である。 白鳥山登山は、犬が岳からの下降縦走、親不知~坂田峠と山姥洞窟からの3つのコースがある。親不知から入道山、尻高山、坂田峠越への栂海新道は健脚者向きなので、標高620mの坂田峠、金時坂のコースが最も一般的となっている。 白鳥小屋の展望台からは、剣・立山連峰から日本海まで眺望できる。 新潟県側の麓の上路(あげろ)地区は謡曲「山姥(やまんば)」の舞台となった場所であり、周辺には山姥伝説にまつわる山姥洞・山姥神社、山姥拝岩や山姥の息子の坂田峠、金時坂などがある。(案内図) 毎年、糸魚川市の親不知が「日本アルプスの起点だ」とした英国人登山家、ウォルター・ウェストンを顕彰する「海のウェストン祭」と白鳥山山開きが糸魚川市市振の親不知コミュニティ広場で開かれている。 🔶坂田峠コース 登山口のある標高620mの坂田峠は上路集落と橋立金山を結ぶ山廻り旧北陸街道である。 登山口には大小2つの駐車場があり、金時坂の急坂を一気に登っていく。5月下旬ごろ、イワウチワ、イチヤクソウ、ノギランなどが花盛りとなる。金時坂の頭から沢筋にやや下る。シキワリの水場だ。V字状の沢筋には7月中旬まで雪渓が残っており、遅咲きのシラネアオイ、サンカヨウ、ギボウシなどが競うように咲いている。尾根に取りつきやや急坂を登る。ショウジョウバカマが春を告げ、サイゴクミツバツツジ、ムラサキヤシオツツジの濃い紫紅花が目立ち始める。稜線の傾斜が緩くなった所を山姥平と呼ぶ。山頂まで15分くらいの所に、山姥登山道との合流点がある。山頂近くはブナ優生林となるが、まれに北アルプス最北のオオシラビソや、積雪に圧倒された天然杉の老木がみられる。北斜面は、白銀の世界を現出し、春スキーには格好のゲレンデとなりオオイワカガミ、タケシマラン、ツマトリソウ、チゴユリが花をつける。終登では藻事なカタクリの群落が点在するのが見える。 白鳥山の頂上には広場と山小屋があり、山小屋の展望台からの眺めは、日本海からアルプスまで一望の下である。 海のウェストン祭日本アルプスを世界に紹介し、日本近代登山の父として知られる英国人登山家であるウォルター・ウエストンの業績を偲ぶイベントで、近くの白鳥山の山開きも兼ねて行われる。 山頂にてお神酒がもらえます。山姥神社 ~ 山姥伝説白鳥山の山頂近くに山姥が住んだ「山姥の洞」があり、大きな「踊り岩」に覆われていて、満月の夜、そのうえで山姥が舞う姿が遥か麓から眺められたといいう。時に里に下りてきて、悪さをするので、村人は神様にまつった。神となった山姥は、村人に機織りや踊りも教えたといい、貧しい村人には銭をくれたりしたという。 その恩恵に感謝し、村里の住民たちは山姥を祀り、山姥神社(「山姥の祠」)が造られた。村人は、朝夕人々が「拝み岩」から山に向かって、無事と健康を祈ったと云われている。 この一帯には今も山姥伝説が語り継がれ、周辺には山姥の住まいとされた山姥洞や踊り岩、後世で山姥の子といわれた坂田金時が遊んだという手玉石やブランコ藤などが数多く存在し『山姥の里』として整備された。規模はちいさいながらも、年2回、4月と10月の9日は例祭が行われ、地域の人々のよりどころとなっている。 上路地区は、世阿弥の謡曲「山姥」の舞台になったといわれている。あらすじですは、舞の上手で有名な都の「百万山姥」という遊女が、善光寺参りの途中、上路の山中でまことの山姥に出合う。山姥は舞の奥義を示しつつ、名残を惜しんで「山また山廻りして、何処へともなく去って行く。」
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This 1,287-meter-high mountain is the northernmost peak in the Ushiro-Tateyama mountain range of the Hida Mountains (North Alps). It straddles Itoigawa City in Niigata Prefecture and Asahi Town in Toyama Prefecture. Also known as Mount Yamamba,Mount Agero,and Mount Terayama. |
白鳥山 白鳥山避難小屋 上路(坂田峠)登山口 天険登山口 山姥神社