出羽街道 Dewa Kaido



村上城下と庄内地方の鶴ヶ岡城下、2つの城下町を結ぶ出羽街道である。起点から国境の堀切峠までは総距離10里10町53間とある。
参勤交代には利用されなかったが、江戸時代後期は出羽三山の参拝者や物資の流通、湯田川温泉(鶴岡市)の湯治客などでにぎわった。
菊を食べる文化や、山形県のだだちゃ豆をルーツとする黒崎茶豆が生まれるなど、山形県の食文化や大須戸能などの文化が街道を通り新潟に浸透してきた。一方、村上市の特産品である鮭が街道から山形県に運ばれていたとされる。
元禄2年(1689)、松尾芭蕉が「奥の細道」の行脚の際も出羽街道を歩いたことでも知られている。

🌌村上城下

古渡路の道標

旧県道村上・高根線を四日市から古渡路に入るとすぐの三叉路に立つ。延享年間(1744~48)建立の六十六部経典供養塔の左右に「左 出羽道、右 在道」と刻まれている。脇には庚申塔がある。

井筒屋 URL

旧出羽街道沿いの小町に建つ「井筒屋」は、松尾芭蕉が元禄 2 年(1689)、曾良を伴って「奥の細道」の途次、村上城下を訪れた際、「久左衛門」という人が営む旅籠屋に宿泊した。井筒屋はこの旅籠の跡を受け、文化年間(1804~1817)の頃から旅籠屋を営んできた。建物は明治末頃のもので国登録有形文化財に指定されている。



🌌猿沢宿

大満虚空蔵尊の門前町も兼ねていた。

大満虚空蔵尊

僧行基が開山し、保元2年(1157)に雲上佐一郎が開基、鮎川清長再建したと伝えられている。日本虚空蔵尊のひとつといわれ、福徳・知恵・円満の仏として信仰される。本尊は12年に一度、丑年に開帳され、毎年春(4月13日)秋(10月23日)の大祭があり、大護摩祈祷を厳修する。

🌌塩野宿

漆山神社(矢葺明神)

延喜式内社、別名矢葺明神。源義家が前九年の役で安倍氏を討ちに行く際、漆山神社で休憩し、この戦いに勝利したら弓矢で屋根を葺くと戦勝祈願した。1062年、無事勝利をおさめた義家が船で帰路につくと、漆山神社の沖で舟が動かなくなり、約束通り屋根を弓矢で葺き替えたという伝説により、矢葺明神と呼ばれている。子宝・安産の神様とも知られ、遠方からも参拝者が訪れる。三十丈(約100m)あると記録された明神岩(実際は50mほど)は圧巻である。

布曳滝(板屋越)

少ない水量ながらも優美な姿を見せる布曳滝。別名男滝。落差は約45mで、布を垂らしたような姿からこの名がついたと言われている。すぐ近く、別の支流には女滝と呼ばれる滝がある。落差は15mほどだが、男滝に比べ勢いよく、木々の隙間から落ちる姿が美しい。

🌌大沢宿

大沢峠

大沢峠に敷き詰められた立派な石畳古道。これが敷かれた経緯には諸説があるが、天正16年(1588)に本荘繁長が庄内を領める際、出羽街道の往来が頻繁となり石畳を敷いたと伝えられる。大沢には塩野町の民政を司る代官所の陣屋(軍兵の宿営する場所)があり、宿場として明治の中頃まで栄えていた。明治26年、塩野町から鼠ケ関まで新道(旧国道7号線)が開通し、矢葺明神から大沢間は地元集落の人達が農業・林業のための作業道に利用されるのみとなった。

🌌北中宿(中村)

松尾芭蕉が出羽街道を旅した際、温海に宿泊し、鼠ヶ関から村上へ向かう途中、8月12日に中村宿(現在の北中)に泊ったとという記録が残っている。中村宿は当時旅籠屋が5軒あり、馬が常時7頭いた比較的大きな宿場町。芭蕉がどの宿に宿泊したかは定かではないが、小田山か秋田屋左次右衛門だといわれている。

北中芭蕉公園

松尾芭蕉が河合曾良を伴って江戸を出発した日から300年が経った平成元年8月。旧山北町と「奥の細道あゆむ会」が開園した公園。緑鮮やかな竹林の中、芭蕉の詠んだ句「さはらねば 汲まれぬ月の 清水かな」が刻まれた句碑がたっている。(👉松尾芭蕉

🌌中継宿

川内神社

境内に、江戸日本橋を起点として道路の両側に1里ごとに築いた105里の塚がある。出羽街道の遺構として貴重な塚で、昔は両側に築かれていたが、今現在は片側のみ、高さ約1.5m、直径約5.4mの塚が残されている。

🌌小俣宿

小俣は、かつて日本の主要道であった出羽街道の宿場町として出羽三山への参拝者など多くの人々が訪れているた。標高555m「日本国」の登山口があるl集落だ。
明治維新では戊辰戦争の戦場となり、集落のほとんどが焼き払われてしまったが、その跡に再建された家々が現在も残っていて、昔の面影を思い出す。宿の玄関先には広い土縁、駕籠寄せが作られており、土縁柱には牛馬の口取縄を結ぶ駒繋ぎの金具が埋め込まれている。旅人宿の雰囲気を感じることができる。(👉村上藩の戊辰戦争、👉日本国











宿マップ












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